https://minamiyoko3734.amebaownd.com/posts/17529005?categoryIds=4008207 【養生訓】
https://www.asahi.com/articles/ASNDB6QFXND9ONFB00P.html 【流行り病に江戸期の知恵 資料展がコロナ禍で注目 三重】より
コロナ禍の収束が見えない中、三重県多気町の多気郷土資料館で、はやり病や健康法についての江戸期の書物などが展示され、来館者の関心を集めている。本草学者で儒学者の貝原益軒(1630~1714)が著した「養生訓」もある。
町の偉人で本草学者の野呂元丈(げんじょう)(1693~1761)、西村広休(ひろよし)(1816~89)に関する資料を紹介する企画展「本草学とふるさと」の一部。元丈は幕府の採薬使となり、蘭学(らんがく)の先駆者ともなった。豪商の広休は植物園を造り、収集した植物の研究に励んだ。
「流行(はや)り病」と題したコーナーでは、コレラや麻疹、天然痘の対応方法、治療法、養生について記録した資料を紹介。「飢饉(ききん)に備える」では、本草の知識で野草を食べてしのいだ先人の知恵がうかがえる。
養生訓は、益軒が長寿のための心得を指南した書で実体験に基づいて健康法を説いた。「老人病あらバ先(まず)食治(しょくち)すべし。食治応ぜずして後、薬治(やくち)を用ゆべし」と投薬の前に食事の見直しを勧めるなどしている。
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/435018/【人生100年時代の「新・養生訓」 日野原重明さん+貝原益軒 Wの知恵 原土井病院の原理事長が健康読本】より
「元気な老人が日本を救う」と話す原寛さん(左)
●共通する秘訣 指南
105歳で亡くなるまで生涯現役だった日野原重明さんを目指そうと、福岡市の原土井病院理事長、原寛さん(86)が「元気100倶楽部(くらぶ)」を設立した。聖路加国際病院(東京)の名誉院長だった日野原さんと福岡藩の儒学者貝原益軒に共通する健康長寿の秘訣(ひけつ)を「新・養生訓」にまとめ、会員に配布。講演会なども企画し、生活習慣の改善を呼び掛けている。
57歳の時、日野原さんと出会った。日本人に多いがんや脳卒中、心不全は多くの場合、悪い生活習慣が積み重なって発症するため、より良い生活習慣が重要という教えに共感する。2001年には日野原さんが会長を務める「新老人の会」の九州支部を設立した。
師だった日野原さんは昨年7月に亡くなった。「教えをより広く伝えたい」。今年4月、元気100倶楽部を立ち上げた。
自身も50代まで、身長178センチ、体重70キロ台と肥満気味だった。日野原さんとの出会いや60代後半で受けた肝がんの手術を機に、摂生を始めた。朝5時前に起床。6時には出勤し、新聞7紙を読み込む。朝食は野菜たっぷりのみそ汁に少量の麦ご飯。納豆と卵は欠かさない。週3回はプールで泳ぎ、電車で移動し、駅の階段は駆け上がる。アルコールは週3日、赤ワインをグラス半分だけ。
現在は体重50キロ。健康診断で悪い所はない。活動を共にするようになった頃の日野原さんと同じ年になり「知識は及ばないが、身体的には先生を超えた」と笑う。「病気をつくるのは加齢より生活習慣」。日野原さんや自分のような元気な高齢者が増えれば、医療費や介護費を抑制できる上、社会の担い手も増えると考えている。
会員向けの健康読本「新・養生訓」(111ページ)には、日野原さんや江戸時代に「養生訓」を記した貝原益軒の教えも並ぶ。日野原さんの「習慣が人をつくる、心もからだも」という言葉は、益軒の「凡(およそ)よき事、あしき事、皆ならひよりおこる」に通じる。益軒が説いた「生を養い、命を保たんと思えば、その術を習わないなどということはありえない」は、日野原さんの「健康になるためには、知性が必要であり、技術も必要である」という教えと重なる。
倶楽部はこうした教えに基づき、講演会や散策などを月1回催し、隔月で「人生百年時代ジャーナル」を発行する。年会費は個人2千円。「新・養生訓」は会員以外にも500円で販売している。事務局=092(282)6001。
=2018/07/16付 西日本新聞朝刊=
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/rouka-yobou/yojokun.html 【養生訓】 より
江戸時代の健康で長生きするためのバイブルともいえる医書の「養生訓」(1712年)は、当時のベストセラーであり、現在でもその考え方や精神は今日の一次予防につながるものとして注目され続けています。
貝原益軒の「養生訓」とは
養生訓とは、江戸時代を生きた儒学者※1であり、医者でもある貝原益軒(かいばらえきけん)によって、健康で長生きするためのエッセンスが書かれた書物です。養生訓は貝原益軒が83歳の時に書かれた本だといわれています。江戸時代の人々の平均寿命は40歳を下回っていましたが、その時代に、貝原益軒は85歳まで生きました。最期まで認知症や寝たきりになることなく生涯を全うした、まさに健康長寿を体現した人物です1)。
※1:儒学者:
儒学者とは儒教を自らの行動・行為規範にしようと儒教を学んだり、儒教を研究する人のこと。儒学は中国古代の思想・哲学者の孔子を始祖とする儒教を基本とした学問のことをいう。
なぜ、江戸時代という昔に書かれた本が現代になってもなお、注目されているのでしょうか。
養生訓は、ただ、「健康には○○がよい」という健康になるためのノウハウが書き綴られているわけではなく、「人としてどう生きるべきか、どう在るべきか」というところが書かれています。
養生訓には「当たり前のことを当たり前にできないと心と身体が病気になる。与えられた命と身体に感謝して慎み深く、そして自分の人生を楽しんで生活するべきである」という精神のもとに、生活するうえでの心得が全八巻を通して書かれています。
養生訓から学ぶ長寿の知恵2)3)
養生訓の全八巻は以下の構成から成ります。
巻第一 総論上
巻第二 総論下
巻第三 飲食上
巻第四 飲食下
巻第五 五官
巻第六 慎病(病を慎しむ)
巻第七 用薬(薬を用いふ)
巻第八 養老(老を養ふ)
巻第一、巻第二の総論では、養生の道とは、また、養生の道を行うためにはどのような気の持ち方や行いをすべきかが書かれています。巻第三以降は食事や住まい、睡眠、排泄、薬の服用などで具体的に気をつけるべきことが書かれています。
総論では、
「自分の身体は自分だけのものではなく、父母が授けてくれ、自分の子へと残すものであるため、不摂生をして身体を傷めつけることはしてはいけない。養生を学び、健康を保つことが大切である。欲のままに生活するのではなく、生まれてきたことに感謝をし、日々慎ましやかに楽しく生活することが長生きにつながる。」
とあります4)5)。授かった命、身体を欲のままに傷めつけるようなことはせず、定められた寿命を受け入れて全うするように、控えめに穏やかに、自分なりの楽しみを持って生活することが大切という精神が基本となっています。
養生の道、食生活、性生活、住まい、睡眠、排泄、薬の服用、高齢者の生活について、貝原益軒の教えをいくつか抜粋してみていきましょう。
養生の道
怒りや心配事を減らして心を穏やかに保つ
元気であることが生きる活力になるのでいつも元気でいる
食事は食べ過ぎず、毎日、自分に合った適度な運動をするのがよい
生活の中で自分の決まり事をつくり、よくないことは避ける
病気になってから治療するのではなく、病気にならない努力をする
何事もほどほどにし、調和のとれた生活を送る
お金がある、ないに関係なく、自分なりの楽しみを持って生活する
養生のための生活を習慣化することが大切
呼吸はゆっくり行い、たまに大きく息を吸い込む
夜更かしはしない、だらだらと寝すぎない
身のまわりを清潔に保つ
食生活
食事は温かいうちに食べる
胃腸が悪い時は水を多めにして炊くなど、体調に合わせてご飯を炊く
食事は薄味にし、濃い味のものや脂っこいものは食べ過ぎない
冷たいもの、生もの、堅いものは避ける
いろいろな味のものをバランスよく食べる
食べ物への感謝の気持ちを忘れずに食事する
夕食は朝食よりも少なめにする
食欲を抑える、食欲に勝てる精神力を持つことが大切
前にとった食事が消化してから次の食事をとる
大きな魚や鳥や魚の皮など消化しにくいものは避ける
食後はじっと座るのではなく、自分に合った軽い運動を行う
酒は少しにして呑みすぎない
塩分の少ない食事をとる
煙草は毒であり、習慣化すればやめにくくなる
性生活
食欲と性欲は人間の欲の中でも強い欲だが、若いときから自制しなければならない
住まい
適度な明るさの部屋で過ごし、薄暗い陰気な部屋に長時間いないようにする
睡眠
夜寝るときは横向きで寝るのがよい。仰向けになると気分が悪くなってうなされる。胸の上に手を置くと悪夢をみる
排泄
大便、小便は我慢せずに早く済ませる
薬の服用
長生きの薬はない。生まれ持った寿命を全うする
毒にあたって薬を飲むときは冷水がよい。熱湯は毒の力を活発にする
高齢者の過ごし方
心を鎮めて日々を楽しみ、怒ることと欲を制する
無理をしないようにする
養生訓からの学び
養生訓に書かれていることは、バランスのとれた食事と適度の運動、良質な睡眠、そしてストレスは避けて心を穏やかに保ち、楽しみを持って元気に過ごすという、現代の生活習慣病の予防や治療で大切とされることが全て網羅されていると感じます。食事も暮らしも質素であった時代から、欲を制して控えめな生活をすることが健康長寿につながると説かれており、江戸時代よりも格段に物が豊富にそろう現代では、どれだけ自分を制し、欲動※2をコントロールして生きていくかが健康のために大切なことといえるのではないでしょうか。
※2 欲動:
欲動とは人間を常に行動へと向ける無意識の衝動のこと。欲動には生の欲動と死の欲動の2つがあります。生の欲動とは生きようとする本能的なもの、死の欲動とは自分を無の状態に回帰させようとする願望的なものがあります。
貝原益軒は人柄も非常に優れた人物であったといわれています1)。いくつかのエピソードから垣間見られるのは、器が大きく、目の前のできごとを平静に受け止め、日々の生活を大切に生きていた姿です。時代を超えてもなお、「養生訓」が読まれ続けるのは、どのよう状況であっても心を穏やかに保ち、日々を過ごせる命に感謝して生きていく姿勢に、我々が心を改められる気持ちになるからだと思います。
写真:木の根元に置かれた地蔵の写真
参考文献
ツムラ・メディカル・トゥディ 漢方医人列伝「貝原益軒」 山崎光夫 2009.8.25(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
養生訓 中村学園大学校訂テキスト(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
貝原益軒『養生訓』の「健康」観をめぐって 伊藤ちぢ代 日本大学大学院総合社会情報研究科紀要 No.6, 128-137(2005)(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
貝原益軒の養生訓 ジョージ秋山 海竜社 2010年2月11日
四季の美 養生訓の内容|貝原益軒による日本人の健康と精神の心得|原文と現代語訳(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
https://www.tyojyu.or.jp/net/topics/tokushu/covid-19-taisaku/index.html 【新型コロナウイルス感染症対策】より
高齢者およびご家族に向けて新型コロナウイルス感染症(COVID-19)にうつらない・うつさないための感染防止対策と毎日の健康維持の方法について情報をまとめました。
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