Facebook・清水 友邦さんさん投稿記事「人類とウイルスの関係」
生命の進化に関わり人を元気にすると同時に病気も引き起こすウイルス
ウイルスは「生き物」なのか? 無生物なのか?科学者の見解は一定でありません。
生命とは何かという問いは生命をどう捉えるかに関わっています。
ウイルスは単独では自分で増えることも、代謝もできませんが生物の体内に入るとウイルスは増殖します。
ウイルスは無生物と生物の両方の境界領域をもっているのです。
ウイルスは細菌よりも小さいので20世紀に電子顕微鏡ができるまで謎でした。
ウイルス学は新しい学問で急速に進歩したのはアメリカ国立衛生研究所が遺伝子銀行を形成してからです。
インフルエンザ遺伝子構造が解読されたのは1995年です。
生命の起源が自己を複製できるRNAだったといわれています。
すべての生物は遺伝情報としてDNAを持っていますがウィルスだけが例外的にRNAを遺伝情報として持っています。
ウイルスは生命の起源とも関わっています。
ウィルスは自己増殖できないので他の生物の細胞に侵入(感染)してその複製機構を利用して自己増殖します。
そこで、原始細胞に進化が起きて生物が登場したあとに細胞から飛び出したのではないかと考えられています。
ウイルスの外膜と宿主の細胞膜が融合してウイルスは細胞内に侵入して、自分の遺伝子のコピーを作って感染が起きます。
家出した子供は家族の一員なので宿主はウィルスを受け入れてしまうんですね。
そうして放蕩息子のウイルスは宿主に新しい遺伝子をもたらし進化を起こしました。
人間の全遺伝情報の45%が、ウイルス由来とされています。
海水1リットルに1000億個のウイルスがいます。
ウイルスは海洋生物の進化の歴史の中で遺伝子交換を繰り返して生物多様性に貢献してきました。
赤潮が起きると赤潮プランクトンを殺すウイルスも広がり赤潮を消滅させます。
ウイルスは海に生息している微生物や細菌の50%を毎日殺して赤潮が無制限に広がらないように地球環境のバランスを保つ働きをしているのです。
人間は微生物の集合体(マイクロバイオーム)です。
腸内にヒトの細胞数に近い約40兆個の細菌が存在しています。
微生物と人間は助け合って共生環境を維持しています。
微生物による免疫システムは共生と排除をしてウィルスの侵入を防御しています。
体表を薬で殺菌しすぎると皮膚の防衛機能が弱まってしまうデメリットがあります。
またうがい薬で殺菌すると喉の粘膜免疫システムが低下してしまいます。
抗生物質は腸内細菌のバランスを壊してしまいます。
多様な細菌が共生している環境では新型コロナウィルスだけが増殖することはできません。
殺菌すればするほどバランスが崩れ今度は人間の免疫力が弱くなってしまいます。
生物学ではダイナミックにバランスを保っている生命現象を動的平衡(ダイナミック・イクイリブリアム)と呼んでいます。
バランスが崩れると新型コロナウイルスだけでなく感染を引き起こすウイルスや細菌が増殖して健康を失います。
ウイルスや細菌を忌み嫌う人がいますがウイルスや細菌がいなければ人間は生存できないのです。
人間とはウイルスや細菌を含んだ超生命体の一部なのです。
そしてウイルスはアステカやインカを滅ぼしたように人類の文明にも影響をあたえています。
風邪(かぜ)の症状の約90% はウイルスで残りは細菌です。
その中でも代表格なウイルスはライノウイルスと呼ばれています。
ライノウイルスは遺伝子が10個しかありませんが現在110の型があることがわかっています。
複数のウイルスに生物が感染するとウイルスの遺伝子が混ざり合って新しいウイルスが誕生します。
ウイルスは驚異的なスピードで変容してしまうので抗体ができても別の型のウィルスに感染してしまいます。
これが医学が発達した現代でも世界中の人々が毎年風邪を引いている理由の一つです。
風邪の特効薬は世界中探してもありません。
そして薬やワクチンを作っても耐性を持っているウイルスやタイプが異なるウィルスには効かないのです。
ウイルスが原因の主な疾患に天然痘、麻疹、黄熱病、デング熱、狂犬病、ポリオ、インフルエンザ、エボラ出血熱、エイズ、SARSなどがあります。
1918〜1919年に流行したスペイン風邪と呼ばれているインフルエンザは人類の3分の2が感染して5000万人〜1億人が死亡したと言われています。
死者の数は戦死よりも多くイギリス・ドイツ・スペインの全人口に匹敵します。
明治のスペイン風邪から100年過ぎて令和の新型コロナウイルスの大規模な感染が起きたことを見てもわかるよう西洋医学は限界があります。
20世紀になって3回のパンデミックが起きています。
1918年 スペイン風邪(A/H1N1亜型)5000万人〜1億人
1957年 アジア風邪(A/H2N2亜型)200万人死亡
1968年 香港風邪(A/H3N2亜型) 100万人死亡
1970年代から新たな感染症が現れるようになって来ました。
1978年 エイズ後天性免疫不全症候群(HIV/AIDS)
中央アフリカのコンゴ川上流のカメルーンの森ではチンパンジーを猟師が殺して食べていました。
猟師はエイズ・ウィルスに感染していましたが外に広がることはありませんでした。
20世紀にはいるとコンゴ川下流のキンシャサは都市化が進み人口が一万人をこえました。
川沿いの交易によってエイズ・ウィルスはキンシャサに住み着いて感染を広げました。
そしてエイズ・ウィルスはチンパンジーよりも人間に感染するように進化しました。
1960年にコンゴがベルギーから独立すると出稼ぎに来ていたハイチ労働者が帰国しエイズ・ウィルスは世界中に広がったのです。
21世紀になって深刻な感染症が次々と発生してきています。
2002年 サーズコロナウイルス(SARS-CoV)野生動物(コーモリ・ハクビシン)
2005年 鳥インフルエンザ(H5N1型)鳥と家畜
2009年 新型インフルエンザ(A(H1N1)pdm09)豚
2012年 マーズコロナウイルス(MERS-CoV)コウモリとラクダ
2014年 エボラウイルス病(Ebola virus disease: EVD)チンパンジー
2016年 ジカウイルス感染症(Zika virus infection)ウガンダのジカ森のアカゲザル・蚊
2020年 SARSコロナウイルス2 (COVID-19・コビッド・ナインティーン)コウモリ
今回の新型コロナウイルスの名前はサーズ2コロナウイルス(SARS-CoV2)と言います。
つまり2002年のサーズ(SARS-CoV)のヴァージョン2なんです。
当然、次はヴァージョン3がやってくるのを覚悟しなくてはいけないでしょう。
サーズ以外の別な新しいウイルスの感染も起きるかも知れません。
人類とウイルスは無関係ではいられません。
パンデミック(世界的大流行)が起きることは以前から学者によって予測されていました。
しかし多くの人は目の前の日常に忙しく耳を傾けませんでした。
原因があって結果が起きています。
人間は森林伐採などの環境破壊によって急速に野生動物の住み処を奪っています。
人間の活動範囲が広がり野生動物の領域を侵してしまった為に未知のウイルスが解き放たれています。
環境破壊のしっぺ返しを人類は受けています。
しっぺ返しの竹篦(しっぺい)は座禅の際、修行者の気づきを促すために打つ道具です。
人間の自己中心的な行いが危機を招いている事に気がつくように
ウィルスは叱咤 ( しった ) の役割を演じて人類を変容させようとしているかのようです。
私たちとともにあるウイルスという他者
https://nature-and-science.jp/virus/#page-2
人類を生み出した進化の鍵はウイルス感染だった?
http://zip2000.server-shared.com/viras.html
人間と共生する生き物?可能性未知数のウイルスの正体
https://emira-t.jp/special/7814/
あなたの体は9割が細菌
https://diamond.jp/articles/amp/131873?display=b
ウイルス化石が語る生命の進化
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