蕪村俳句と比喩

https://amanokakeru.hatenablog.jp/entry/2020/04/11/072409 【蕪村俳句と比喩―換喩】より

 換喩は、ふたつのものごとの隣接性・縁故にもとづく比喩。アンリ・モリエ『詩学とレトリックの辞典』によれば、「あるひとつの現実Xをあらわす語のかわりに、別の現実Yをあらわす語で代用する言葉のあやであり、その代用法は、事実上または思考内でYとXを結び付けている近隣性、共存性、相互依存性のきずなにもとづくものである。」(例)赤頭巾ちゃん

    夕立や足のはへたる明俵(あきだはら)

*夕立に遭い、明俵を被って駆けだしている人の姿を詠んでいる。

     月の友石(いし)山寺(やまでら)の傘(かさ)二本

*石山寺に傘をもって月を見に来ている友達ふたりを暗示している。

     初雪や草の戸を訪(と)ふわら草履(ざうり)

     風呂入(ふろいり)に谷へ下るや雪の笠(かさ)

     春雨やものがたりゆく簑と傘   

     水鳥や枯木の中に駕(かご)二挺(にちよう)     

     こがらしや何に世わたる家五軒 


https://amanokakeru.hatenablog.jp/entry/2020/04/12/071623 【蕪村俳句と比喩―提喩】

 提喩は、全体を部分で代表させる喩法で、換喩の一種とも見える。象徴・暗示とも。

     梅折(をり)て皺手(しわで)にかこつかほり哉

*皺手で老人を象徴、代表させている。

     養父入(やぶいり)や鉄漿(かね)もらひ来る傘の下

*傘の下で人がいることを暗示。

     春雨の雫(しづく)うれしき烏帽子(えぼし)哉

     足よはのわたりて濁るはるの水

     ふどしせぬ尻吹(ふか)れ行(ゆく)や春の風

     出代や春さめざめと古葛籠(つづら)

*出代(でがはり): 奉公人が交代すること。句は、長年仕えた下女が古葛籠を持って名残惜しさに泣いている情景。春さめ、降る が掛けられている。

     花ちりて身の下やみやひの木笠

*芭蕉句「吉野にて桜見せうぞ檜木笠」を背景に、吉野へも行かず終いで、桜の花は散り木下闇になった。この笠は自分の身の闇をなすのみだ、と詠む。

     麦刈(かり)ぬ近道来ませ法(のり)の杖

     鮓の石かろき袂の力かな

     佐保(さほ)川のほたるに遊ぶ上草履(うはざうり)

     秋の野や鳥うたんとてゆく袂(たもと)

     足よわのわたりて濁るはるの水   

     痩脛(やせずね)の毛に微風有(あり)更衣        

     雨後の月誰(た)そや夜ぶりの脛(はぎ)白き 


https://amanokakeru.hatenablog.jp/entry/2020/04/13/071510 【蕪村俳句と比喩―声喩(オノマトペ)】 より

 声喩(オノマトペ)は、物の音や様子をそのままに、擬音語・擬態語を使って表現する。

   [擬音]物や動物が出す音を描写する。

     ばらばらとあられ降(ふり)過(すぐ)る椿哉

     出代や春さめざめと古葛籠(つづら)

     雨ほろほろ曾我中村の田植哉

     朝霧や杭打(くひぜうつ)音丁々(たうたう)たり

     錦(にしき)する野にことこととかがし哉

     遠近(をちこち)おちこちと打(うつ)きぬた哉

     ぽきぽきとふたもと手折(たを)る黄ぎく哉

     あなたうと茶もだぶだぶと十夜哉

     地車(ぢぐるま)のとどろとひびくぼたんかな    

   [擬態]心情や状態を表す。

     ひよろひよろとなをつゆけしやおとこへし

     てらてらと石に日の照(てる)枯野かな

     宿替(やどがへ)にすぽりとはまる火燵(こたつ)哉

     沙(しや)弥(み)律師(りつし)ころりころりと衾哉

     入道のよよとまゐりぬ納豆汁

     春の海終日(ひねもす)のたりのたり哉 

コズミックホリステック医療・現代靈氣

吾であり宇宙である☆和して同せず  競争でなく共生を☆

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