https://www.travel.co.jp/guide/article/6474/ 【河童に天狗!?兵庫県福崎町「辻川山公園」で妖怪ウオッチング】 より
河童(かっぱ)や天狗(てんぐ)が実在する公園がある。河童がため池から現れ、天狗が空を舞う妖怪の町・兵庫県神崎郡福崎町の「辻川山公園」だ。園内には『遠野物語』などの著者で民俗学者・柳田国男の生家や記念館もある。
子どもが泣き出すほどリアルな妖怪たちを、ひと目見ようと連日多くの人が訪れる妖怪が住む町・福崎町の「辻川山公園」を紹介したい。
柳田国男もビックリ! 「河童の町」兵庫県神崎郡福崎町
写真:塚本 隆司
播磨平野のほぼ中央に位置し、古くから市川や生野銀山と姫路を南北に結ぶ生野街道、加西市北条から夢前町へと東西に抜ける北条街道が交わる要衝だった福崎町。なかでも「辻川(つじかわ)」と呼ばれる地域は大いに栄え、ノスタルジックな町並みが今もわずかだが残っている。
妖怪伝承の研究家でもあり『遠野物語』や『妖怪談義』などを執筆した民俗学者・柳田國男(1875~1962年)は、この地で生まれ育った。自身の人生を振り返った著書『故郷七十年』に福崎町に伝わる河童の伝承があることから、福崎町内の辻川山公園を中心に妖怪をモチーフとした町おこしに力を入れている。
写真:塚本 隆司
妖怪の造形作品を募集する「全国妖怪造形コンテスト」も開催。優秀作品はモニュメントにして設置している。妖怪にちなむベンチも登場し、今では「河童の町」「妖怪の町」としてちょっとしたブームなのだ。
写真:塚本 隆司
妖怪が座るベンチは福崎町内にいくつか設置されている。福崎駅から妖怪ベンチを巡りながら辻川山公園へと散策するルートマップも作成され、注目のスポットなのだ。
写真は、辻川山公園に住む油瓶をさげた妖怪「油すまし」。以前、この場でパソコン画面を眺めていたスーツ姿の天狗は場所を移し、すし屋前のベンチで今もパソコン画面を眺めている。
池の中から現れる3匹の河童! 大はしゃぎの子どもたち
柳田國男の著書『故郷七十年』によると福崎町にいた河童はガタロと呼ばれるいたずらものだったようだ。市川の駒ヶ石あたりに住み、近くを泳いでいると尻子玉(しりこだま)を抜かれて溺れ死ぬとか。毎夏一人くらいは亡くなったというから怖い話だ。
この伝承をモチーフにして、2匹の河童の兄弟、河太郎 (ガタロウ)と河次郎(ガジロウ)が生まれた。兄のガタロウは、頭の皿が乾いてしまって池のほとりで固まっている。
弟のガジロウは、皿が乾かないように水の中に住んでいる。池にかかる橋を通る人を、驚かそうと顔を出すそうだ。
時間には律義なようで、毎日午前9時から午後5時までの間、毎時0分15分30分45分に各3回出没する。
ガジロウが現れる瞬間を映像に捉えることができたので紹介したい。まずは、動画を見て欲しい。
動画:塚本 隆司
なんと、ガジロウの両脇には子がっぱが。2017年4月19日、第三形態として子どものカッパまで登場した。
子どもたちが、手に握りしめているのが尻子玉。
尻子玉とは、肛門あたりにあるとされる想像上の玉(もしくは臓器)のことらしい。カッパに捕まると、それを抜かれてしまうのだとか。なんだかお尻がムズムズしてくる。小さな子どもには衝撃的すぎる話。泣きながら逃げだす子もいるとか。
天狗が宙を舞う辻川山公園の空
写真:塚本 隆司
池から顔をのぞかす河童に続いて登場したのが、これまたリアルな天狗。高いところにある小屋の扉が「ギギギッ」と開くと、宙づりの天狗が現れる。
写真:塚本 隆司
筋骨隆々とした赤く大きな体に大きな翼。長い鼻に大きな口。まさしく天狗だ。なにやらかじりついているのは、福崎町の特産品「もち麦どら焼き」。きっと大好物なのだろう。ちなみに、このどら焼きは公園内にある「もちむぎのやかた」で売られている。
天狗も律義者で現れる時間が決まっている。毎日午前9時5分から午後5時5分までの間、毎時5分20分35分50分。河童と微妙にズレている。なにやらぶつくさと独り言を放つので、それも楽しみにしたい。
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